3カ月でレビュー時間1.82日を削減。DMM.comに聞くCodeRabbit導入の効果
DMM.comの購入改善推進チームは、少人数体制で膨らんでいたコードレビューの負荷をCodeRabbitで軽減し、約3カ月でレビュー時間を1.82日削減しています。

約3カ月でレビュー時間を1.82日、1営業日あたり約52分を節約
レビューコメントの受け入れ率は約4割(38.6%)
重大だと判断できる問題に観点を絞るチューニング
CodeRabbitを通したあとで人間に渡すレビューフロー

DMMグループは動画配信や電子書籍、ゲーム、通販をはじめ、教育や金融、地方創生など幅広い領域で事業を展開しています。その多様な事業を支えるために、横断的に利用される共通機能の開発も行われています。その一つが、商品やサービスを購入する際に利用される決済・購入基盤です。
今回は、既存の購入基盤をよりモダンな技術構成へ移行するプロジェクトに取り組む、プラットフォーム開発本部 第二開発部 購入グループ 購入改善推進チームの市原さん、Kanonさんにお話を伺いました。
少人数の開発体制でレビューがボトルネックに
購入グループには3つのチームがあり、その一つである購入改善推進チームでは、既存のレガシー構成な購入アプリケーションを、モダンな構成のアプリケーションへ移行するプロジェクトを進めています。2026年1月頃から計画を始め、4月頃から具体的な実装を開始しています。
このプロジェクトでは単純に既存システムを置き換えるだけではなく、各事業固有のロジックをできるだけ切り離し、事業横断で利用できる、より抽象化された購入基盤へ変えていくことも目的としています。プロジェクト開始時はKanonさんと業務委託メンバーを中心とする少人数の体制で、市原さんが既存仕様などの観点からレビューやアドバイスを行っていました。
CodeRabbit導入前に大きな課題となっていたのが、レビュアーの不足です。市原さんへレビューが集中する一方、市原さんは購入グループ全体を担当しているため、このプロジェクトのレビューだけに時間を使うことは難しかったのです。

さらに、その限られたレビュー時間を、タイプミスや単純な実装上の問題に使いたくないという課題もありました。既存システムにはアンドキュメントな部分もあり、だからこそ人のレビューでは既存仕様との整合性や、コードだけからは分からない処理の背景など、本質的な判断が必要な部分の確認に時間を使いたかったのです。
「レビューできる人を増やすのが簡単ではない中で、時間をできるだけ節約していくことが必要でした。品質を保ちながら、限られた時間をどう使うかというところですね」(市原さん)
前職での利用経験から始まったCodeRabbit導入
Kanonさんは、前職ですでにCodeRabbitを利用した経験がありました。そこですでに良い体験があったため、今回のプロジェクトでも実装が本格化した頃から利用を開始しています。また、DMM.comではAIを開発にどう活用して生産性を向上させられるか試していく流れがあり、さまざまなAIツールの利用を前向きに検討できる環境があったことも導入を後押ししました。
一方でKanonさんにとって、自分でCodeRabbitを導入・設定するのは前職にはない経験でした。前職ではすでにCodeRabbitがセットアップ・チューニングされており、コメントなどを通じて使いやすくなっていく様子を利用者として確認しています。今回、自ら設定することで、CodeRabbitはコンテキストやレビュー方針を与えながら調整していくことが重要だと気付いたといいます。
「前職ではすでに設定されていたので、使っているうちに自然と良くなっているように感じていました。実際に自分で導入してみて、ちゃんとチューニングして育てていく必要があるんだと体感しましたね」(Kanonさん)
メトリクスとコストを踏まえてCodeRabbitへ集約
導入当初はCodeRabbitだけではなく、GitHub Copilotも並行してコードレビューに利用していました。その後GitHub AI Creditsへの変更があり、レビュー用途でのAI活用はCodeRabbitに一本化する判断をしました。両方を利用したうえで性能面での一本化にデメリットがないと判断したことに加え、CodeRabbitではレビューに関するメトリクスを取得できる点も判断材料になりました。

「複数並行利用した上で、現在はCodeRabbitに寄せています。レビュー時間の削減やコメントの受け入れ率など、数字を見られるところが良いです」(Kanonさん)
AIレビューを先に、人間は本質的な確認に集中
現在は、実装後にKanonさん自身がセルフレビューを行い、その後でPRをCodeRabbitがAIレビューする流れとなっています。そして、CodeRabbitからのコメントをすべて解決した後にラベルを付け、そこから人間のレビュアーへ渡します。こうしたフローにより、市原さんがコメントするのは、既存システムの背景に基づくようなPRのコードだけを見ても判断できない内容が中心になってきています。
導入効果はメトリクスでも確認しています。約3カ月間で、CodeRabbit上ではレビュー時間を1.82日、1営業日あたり約52分の節約を実現しています。また、CodeRabbitが出したレビューコメントのうち、人間側が受け入れた割合は約4割(38.6%)でした。Kanonさんは、レビュー時間の削減量とコメントの受け入れ率を特に重視して確認しているとのこと。
運用で重視しているのが、CodeRabbitへ与えるコンテキストとレビュー観点の調整です。移行元となる既存アプリケーションの情報やドキュメントを同じリポジトリ内から参照できるようにし、レビュー時のコンテキストとして利用させています。また、確認項目を増やしすぎると指摘が浅くなる傾向を感じたため、重大だと判断できる問題に観点を絞るよう指示しています。
「CodeRabbitを通したあとで人間に渡す、という順番が大事だと思っています。最初からAIと人間を同時にアサインするのではなく、CodeRabbit側で解決できるものを先に解決しておくと運用がスムーズになります」(Kanonさん)
CodeRabbit=DMM.comの購入基盤移行を支えるAIレビュアー
CodeRabbit導入前
- レビューが市原さんへ集中し、レビュアーが不足していた
- 限られたレビュー時間がタイプミスや単純な実装上の問題に費やされていた
- 既存仕様との整合性など本質的な判断に時間を使えなかった
CodeRabbit導入後
- 約3カ月でレビュー時間を1.82日、1営業日あたり約52分を節約
- レビューコメントの受け入れ率は約4割(38.6%)
- 人間のレビューはコードだけからは判断できない内容が中心に
- レビュー用途でのAI活用をCodeRabbitに一本化
レビューそのものから、レビュー工程全体の支援へ
今後期待している機能の一つが、セキュリティ面の強化です。現在もセキュリティレビュー機能はありますが、通常のレビュアーとしてCodeRabbitがアサインされたタイミングで自動的にセキュリティチェックまで実行されることを期待しています。また、シークレット情報についても検出できれば、現在別の仕組みで行っているチェックの一部をまとめられるとKanonさんは考えています。

メトリクスについては、PR単位でCodeRabbitがどの程度のAIクレジットやコストを使用しているのかまで確認できるようになることを期待しています。レビュー時間の削減だけでなく、人間がレビューした場合と比較してどの程度の費用差があるのかまで分かれば、CodeRabbitの効果をより具体的に評価できるためです。
さらにKanonさんが期待しているのが、CodeRabbitのレビュー終了後に人間へ引き渡す工程の自動化です。CodeRabbitのコメントが解決された後に人を自動でアサインしたり、複数のレビュアーへラウンドロビンで振り分けたりできれば、特定の人へのレビュー集中も抑えられます。
誰がいつレビューするのかまで含めて、レビュー工程全体をCodeRabbitが支援してくれることを期待しています。
CodeRabbitは、今後もDMM.comの開発を支えていきます。
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少人数体制の購入基盤移行プロジェクトでレビュアーが不足し、限られたレビュー時間がタイプミスや単純な実装上の問題の指摘に費やされていた。