
日本経済新聞社は、1876年に中外物価新報からスタートし、2026年で創刊150周年を迎えます。当初より情報の格差をなくし、自由で公正な市場を目指すという変わらぬ理念のもと、質の高い情報を提供し続けています。現在では日経電子版をはじめ、NIKKEI Primeシリーズなど多彩なデジタル専門メディアも展開しています。
時代の先を見据えたメディアを目指し、生成AIの活用促進などデジタル領域での取り組みも積極的に進めています。本日は、日本経済新聞社のデジタル領域におけるプロダクト開発を担う、デジタル編成ユニットの東條晃博さん、田中泰斗さんにお話を伺いました。
属人化によるコードレビューのボトルネック
デジタル編成ユニットのサービス開発グループ内にあるWebチームは、日経電子版や関連サービスのフロントエンド開発などを担当しています。日本経済新聞社のエンジニア組織は全体で約100名の社員で構成されています。その中のデジタル編成ユニットサービス開発グループのWebチームは担当社員12名+協力会社のメンバー含めた20名超で構成されており、日経電子版の特設ページやデザインシステムなど、機能ごとに分かれたサブチームで案件を進めています。
CodeRabbit導入前、Webチームではコードレビューの負荷が大きな課題となっていました。協力会社のメンバーが記述したコードは基本的に日経社員がレビューするフローでしたが、高度な設計判断を行えるテックリード的なポジションのメンバーは2名に限られていたのです。
そのため、レビューの対応が特定の人材に集中し、レビュー待ちで開発プロセスが停滞してしまうボトルネックが発生していました。日経社員自身もレビュー業務に追われ、実際に手を動かす開発になかなか集中できないというジレンマを抱えていたと振り返ります。
「コードを書く人数に対してレビュアーが不足しており、AIツールを導入する前からレビューの滞留はチームとして解決すべき明確な課題として存在していました」(東條さん)
X(旧Twitter)での出会いとスムーズな導入体験
そうした課題を抱える中、チーム内でAI活用を推進する「AI Boosterチーム」が立ち上がったのが2025年8月頃。そして、この頃にX(旧Twitter)でCodeRabbitの評判を見かけたことが導入のきっかけとなりました。コードレビュー領域のツールとして頭一つ抜けている印象があり、まずは試験的に導入してみる流れになりました。
導入直後のトライアル期間においては、デフォルトの設定を利用するとAIからのレビュー頻度が多すぎたり、プルリクエストのサマリーに表示されるシーケンス図など情報が多すぎるといった印象があったと言います。そこで、概要だけを素早く把握できるようにシーケンス表示をオフにし、レビュー頻度を少なめに調整するなど、自分たちの運用に適した形へとカスタマイズを行っていきました。
「プルリクエストを立ち上げた際に、即座にレビューしてくれるフローは非常にスムーズで、最初の段階からかなり良い感触を得ることができました」(田中さん)

現場からの強い支持とAI投資への理解
本格的な導入の決定要因として大きかったのは、現場のエンジニアたちからの強い支持です。四半期ごとに行われるチームの振り返り会において、「CodeRabbitが良い」というフィードバックが2〜3期と連続して寄せられ、評価が高かったことが決め手になりました。
また、上長のAI投資に対する深い理解も導入を後押ししました。組織全体に「AIを使わなければ遅れていく」という危機感があったことに加え、ユーザー数に応じた定額課金で、利用量やトークン数を気にせず導入できたことも大きな要因でした。モデルの呼び出し回数や使用トークン数に応じた従量課金では費用の見通しが立ちにくく、承認はより難しかった可能性があると振り返ります。
「人間のレビューに回す前の段階でAIがある程度の凡ミスなどを潰してくれるため、現場として大きな効果を実感できたことが強い支持に繋がりました」(東條さん)
リードタイムを1週間から1日に短縮したメリハリのあるレビュー
CodeRabbitの導入による大きな変化として、チーム特有の規約を学習させるLearningsの活用が挙げられます。わざわざMarkdownなどでドキュメント化しなくても、CodeRabbitがPRへのフィードバック(コメント)を蓄積し、次回のレビューから適用してくれる仕組みが構築されています。
また、レビューの流れの中から新しいIssueを起票できる機能により、開発プロセス全体のシームレスな連携も実現しています。
こうしたツールの機能活用が進んだ結果、プルリクエストを出してからマージされるまでのリードタイムは劇的に改善しました。導入以前は多い時で中央値1週間ほどかかっていたレビューの待ち時間が、最近では約1日へと大幅に短縮され、プロダクト開発の速度向上に大きく貢献しています。
「既存の実装を流用したようなコードのレビューは基本的にCodeRabbitに任せ、キャッシュの設定などシステムの稼働に影響を与えるクリティカルな部分は人間がしっかり見るという、明確な役割分担ができるようになりました」(東條さん)
学習データの活用と次なる開発サイクルへ向けて
大きな成果を上げている一方で、今後は蓄積されたLearningsデータ(学習データ)のさらなる活用と、管理機能の改善が期待されています。現在は学習データが増えるにつれて整理が難しくなっているため、APIやMCPなどを通じてより柔軟にデータを取得・管理できる機能が欲しいとのこと。
さらに、組織全体でのリポジトリ連携設定の柔軟性向上など、CodeRabbitをよりシームレスに開発プロセス全体へ統合できるようなアップデートが、今後のより良い開発体験に繋がると期待されています。
CodeRabbitは、今後も日本経済新聞社の開発チームを支援して参ります。
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